日本は、いつの間にか「貧しい国」になってしまったように感じます。そう感じるようになったのはここ数年のことですが、その違和感の“根”はもっと昔にあります。
1980年代後半、日本は世界でも有数の豊かな国でした。当時の円は非常に強く、1ドルが120円を切ることも珍しくありませんでした。その頃の円の購買力を、物価の変化を示す消費者物価指数で現在に置き換えると、CPI Inflation Calculator によれば、1980年代後半の1ドルの価値は現在よりも高く、当時の1ドル=120円は、今の感覚では1ドル=80〜90円程度に相当します。つまり、当時の日本は今よりもはるかに“強い通貨”を持つ国だったということです。
しかし今、外国人観光客が日本に来て口にするのは「日本は物価が安い」という言葉です。それは褒め言葉ではなく、“日本が安くなってしまった”という現実の反映ではないでしょうか。給与は上がらず、物価だけが上がる。地域の商店街は空き店舗が増え、若い世代は地元に残れない。農業や製造業も担い手が減り続け、地域の基盤が静かに崩れていく。その結果として、子供たちが未来に希望を持てなくなっているように感じます。
「なぜ、こんな国になってしまったのか?」この問いが、私の中でずっと消えずに残っていました。日本が貧しくなった理由は、景気の良し悪しだけでは説明できないと考えています。もっと深いところで、国の豊かさを支える“供給力”が弱り、産業の土台が崩れているからです。その変化は静かで、しかし確実に進んでいます。このままでは、「子供たちの未来はどうなるのだろうか?」「地域はどうなるのだろうか?」「日本という国はどこへ向かうのだろうか?」という不安が心の中に湧いてきます。
そして私は、この問いに向き合わなければならないと思いました。それは誰かを批判するためではなく、「未来をどうつくればいいのか」を考えるためです。まずは、この「違和感」から始めたいと思います。日本はなぜ、ここまで貧しくなってしまったのか。その背景にある構造を、これから読み解いていきたいと思います。
2026/03/05