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コラム_「経営者と後継者との間における常識の違いによる弊害」

「常識」という言葉を辞書で引くと,「一般の人が共通してもっている、または、もっていなければならない知識。理解力・判断力。」と記されております。また「良識」という言葉を辞書で引くと,「すぐれた見識。健全な判断力。」と記されています。双方の言葉は,同じような意味に取れるかもしれませんが,厳密にいうとそれぞれの意味は異なります。今回,この2つの言葉を取り挙げた理由は,経営委譲や事業継承において,この「常識」と「良識」が弊害要因になっていることが多々あるということを述べたかったからです。

 

たとえば,「常識」というものは,時代の変化とともに変わります。しかし,「良識」は時代が変化しようとも一部の例外はあるものの変わりません。たとえば,事例が悪いかもしれませんが,戦争(有事)の時,人を殺しても罪には問われません。しかし,良識で考えれば,幾ら時代が変わろうとも,「人」を殺すことなどは認められませんし,罪にも問われます。

 

今回,なぜ「常識」と「良識」の例を挙げたかといえば,経営者の中には「常識」を軽視している方があまりにも多いと感じているからです。それが、経営委譲や事業継承においても弊害になっているということを述べたかったからです。

 

一例を挙げれば、平成29年5月30日の改正個人情報保護法の全面施行により、中小企業をはじめとするすべての事業者が個人情報保護法の適用対象となりました。この法律において、事業者には営利・非営利を問わず、個人情報をデータベース化して事業活動に利用していれば該当します。このため、企業だけでなく、個人事業主・NPO法人・自治会・同窓会等も該当し得ます。

 

経営者(ここでいう経営者とは、若手経営者ではなく、比較的年配者の経営者を指します。)が若い頃は、あまり個人情報ということは現在ほど重視されていなかったため、経営者や店主の中には、個人情報が記載されているノート等を、お客様に見えるところへそのまま置いておくなど、極めて甘い管理でしたし、今でもその管理の重要性を理解していない経営者が多いことも事実です。それ程、個人情報を管理することが重要であるという認識が欠如しているのでしょう。

 

しかし、後継者の代においては、すでに個人情報保護法について、その詳細までは熟知していないものの、個人情報管理の重要性については認識しています。なぜなら、メディア等でも個人情報の漏洩によって、企業が大きな損失ばかありでなく、信用を失う姿を見ているからです。実は、ここに問題があります。経営者と後継者とで意見が対立する要因の1つに「常識」の違いがあります。「常識」は時代とともに、常に変化して行きます。しかし、経営者はそうした変化を極めて重要なことであると認識する方も多いのですが、とりわけ中小企業の経営者においては、その重要性を認識するどころか、「以前からこうしていた」という理由から、「変えよう」ともせずに、その重要性すらも認識していない方があまりにも多いと感じます。

 

つまり、今回は「常識」に対する経営者と後継者における認識の違いを挙げましたが、こうした「常識」に対する認識の違いは他にも多く見られます。こうしたことが、経営者と後継者との経営委譲や事業継承においても大きな弊害となっているのです。これは後継者の責任というよりは、経営者の責任、つまり、考えの甘さや認識の甘さにあると思います。これまでコラムでは、「後継者の甘さ」について述べてきましたが、今回述べた「常識の違いによる弊害」とは、まさに経営者の責任であり、経営者も時代とともに変化する「常識」について、真剣に考えるべきではないでしょうか。

 

 

【参考】中小企業庁・個人情報保護委員会のホームページより。